災害・防災学 ハザードマップを見るときの注意点

素因と誘引

自然災害には素因と誘引がある。

素因ーその土地が持っている災害に関わる性質(地質、気候、地形、人口など)。

誘引ー災害を発生させる直接的な日来がけ(地震、豪雨、津波など)。Hazardとほぼ同じ。

 

素因 + 誘引 = 災害

 

誘引が激しいだけでは災害は起きない。

 

思いもよらないところで災害発生はあまりない。誘引の予測は難しい一方で、ここではこんな災害が起こりうるということ(素因)はある程度分かる(ハザードマップ、地形分類図など)。水防法、土砂災害防止法等でハザードマップの整備は飛躍的に進んだ。

 

ハザードマップとは

発生の予想される自然災害について、その被害の及ぶ範囲、被害の程度、さらに非難の道筋、避難場所等を表した地図、災害予測図(デジタル大辞林

上記のように、ハザードと避難に関する情報が載っている地図。しかし、いろんな種類のハザードマップが実際にはあり、ハザードのみを記しているものもある。

 

ハザードマップを見るときの注意点

・家一軒ごとの危険性の違いを表現できるような精度はない。

・計算の条件次第でも大きく変わるので新しいものが古いものよりよいということもない。

・起こりうる複数のケースが重ねて表示されていることもあるが、すべてが同時発生するわけではない。

・色が塗られていないところは安全とは言えない。

 ー洪水 中小河川では、浸水想定自体が行われていないこともある。

 ー土砂 地形的に危険性があっても住家等がなければ危険個所には指定されない。

     新規開発地域では危険が変化する場合もある。

精度

精度とはいいかえれば、誤差やばらつきが小さいということである。

ハザードマップにも”精度”がある。例えば、国土交通省ハザードマップのあるデータソースには ”1/25000地形図程度の精度”とある。これは、基盤地図情報によれば、以下表のようになる。

  都市計画区域 都市計画区域
平面位置の誤差 2.5メートル以内 25メートル以内
高さの誤差 1.0メートル以内

5.0メートル以内

出典:国土地理院

地図上のどこが都市計画区域内か一般の人にはわからないので、大きな誤差の方を見る。

ハザードマップには地図の上にハザードが重ね合わせられているが、地図の精度とハザードの精度は異なることがほとんど。だから、ハザードマップを拡大して家屋一軒ごとの危険性の有無を厳格に読み取るような使い方は適切でない。

(こうした、ハザードマップの誤差に関する知識は一般にはあまり知られていない)